個人山行 2021年夏山 北アルプス

槍ヶ岳〜大喰岳〜中岳〜南岳

(83歳まだまだ青春!) 山上

 3ヶ月前の時点で行動予定の山小屋に予約を入れ、幸運にも4泊分すべてOKがとれ、8月1日出発の運びとなった。4月末時点コロナは下火となったところだったので、安心していた。同行者は地域で一緒にハイキングの活動をしているH氏(77歳)で槍ヶ岳を目指す。
計画の段階で体力的に一日の行動を、標準時間で5時間程度とし、登高は1000m以下で、おまけに初めてのデジカメを持参して、楽しみながら決して無理はしないことを心掛けてルートと山小屋を選定した。

8月2日(月) 快晴 午後多少雲が出る。
松本5時30分発「ナショナルパークライナー」で上高地へ。朝食をすませ歩き出す。しばらくで左側に明神岳の岩峰を眺めながら、帰路の5日宿泊の確認をするため徳沢園を目指す。
横尾で昼食の後一ノ俣、二ノ俣を経て順調に歩き、13時10分槍沢ロッヂ着。ゆっくり休み、第1日目を終えてビールで乾杯する。
コースタイム:
上高地7:50〜徳沢園9:40〜横尾(昼食)10:50〜一ノ俣12:20〜13:10槍沢ロッヂ

8月3日(火) 快晴
 出発準備をして5時からの朝食をすませ、5時40分歩き出す。槍沢下部はゆるやかな傾斜で歩き易い。
ババ平のキャンプ場を経てゆっくりペースであまり汗もかかず大曲り着。サァーこれからが本格的な一日の登り始めだと気を引き締めて1000mの高度差を登る事にする。
ただ下を向いてゆっくりと休まないようにして歩く。時間はかかったが余り体力を使わずにあっけなく水俣乗越着、ゆっくりと昼食にする。これから先東鎌尾根の核心部が始まる。
有難いことに岩場が多くても登山道は大量の木材を使って良く整備されていて、山小屋の皆さんに大いに感謝する。周りはほとんどハイマツ帯のため、快晴の真夏の直射日光を浴びて、2時間40分大いにしごかれる。
槍の穂先は時々お目にかかるが景色を見る余裕はなく、ただ下を向いて休まずゆっくりと歩くだけ。
身体はもう限界に近く、登っても歩いても山小屋は見えず、ゼーゼー ハーハーの連続で、やっとのことヒュッテ大槍まで200m″の小さな標識を見つけたが、それから先の200mが長いこと、遠いこと、12時に山小屋にたどり着く。
ゆっくり休み、やっと体力も回復した頃茨城県に赴任中の田ア友美さんが到着する。(出発前の計画でヒュッテ大槍での宿泊を田尻さんから教えてもらっていた) 
このような山小屋での再会を祝しビールを飲みながら歓談する。
色々な話の中で田アさん曰く、この様にして一人で自由なコースを選んで山を歩けるのも、長崎山岳会での権現岩での研修会や三田会長等との比叡山での岩登りの経験の積み重ねが自信となっている。などの話を聞いて、研修会を続けて来てよかったと、この山小屋で心底思いながら、高価なビールが美味しく感じられた。
今日の夕食はワイン付きの立派なもので、山小屋での食事も下界のホテルの様な気分で味わえるのにも感心した一日だった。
明日はいよいよ3人で槍ヶ岳へ登るのだ。
コースタイム:
槍沢ロッヂ5:40〜ババ平6:20〜大曲り7:10〜8:55水俣乗越(昼食) 9:20〜12:00ヒュッテ大槍

8月4日(水)
4時30分早い朝食の後外に出て見ると、御来光が始まる所だった。5時前に空は赤く染まり、日の出と共に槍の正面がモルゲンロートに輝き、その美しさには息をのむほどだ。3人で写真に熱中し時間を過ごす。5時20分心も軽く山小屋を後にする。
1時間で槍ヶ岳山荘着、休憩。ザックをデポして頂上へ。6時56分頂上着。
雲一つなく無風、おまけに山荘で宿泊した人達は日の出と共に登頂し下山した後だ
ったので、我々3人と他に4人とで全くの貸し切り状態だったので写真に熱中していると、その中の1人が「私は飛騨高山でガイドをしているY」と名乗り「加藤文太郎の唄を歌います。(加藤文太郎の生地神戸のシンガーソングライターが作った唄)」と、言って朗々と歌い始めたので皆で聞き入ってしまい、最後には皆で大いに拍手喝采し槍ヶ岳の楽しい思い出が出来た。
快晴無風の頂上でゆっくりした後、先のガイドさんが360度の展望を説明してくださり、大いに助かり良い勉強にもなり、山頂を後にする。
 山荘に戻り8時西鎌尾根から双六岳、笠ヶ岳に向かう田アさんと別れ我々は南岳小屋を目指す。
テント場を過ぎるとすぐに飛騨乗越ではるか下方に飛騨沢が見える。
大喰岳はと見るとさすが3101mの山だ。最低鞍部から山頂までは結構な登りが続く長い岩稜には頂上の標識がどこにあるか判別出来ずに通過する。
中岳までの道も大きなギャップがあり、岩場も少し現れ山頂を過ぎるとゆるやかな尾根道が続きのんびり歩いていると、ガスが湧き出し一時視界が遮られるが、ほどなく天狗原への分岐で休憩し明日の下降ルートを見ると急坂の岩に白ペンキで〇と×印が点々と続いている。
明日はこのルートを降りるのかと思い、天狗池と思われる所をさがしたが多くの雪渓があるだけで見つける事は出来なかった。
 今日は天気に恵まれ大変楽しい山歩きだった。一日で槍ヶ岳、大喰岳、中岳、南岳と3000m以上の山、四座を登り終えたが、もし天候悪化の事を考えると、すべて稜線歩きなので雷対策がどうしても必要になる事を出発前から考えていたので、ヒュッテ大槍の早い朝食(4時30分)は有難かった。
お陰で南岳小屋には12時10分に着き、休憩後獅子鼻展望台に行き、大キレットや北穂高岳の北壁等飽きるまで眺め、小屋で高いビールを買い乾杯して最高の一日を終わる。
コースタイム:
ヒュッテ大槍5:20〜槍ヶ岳山荘6:20〜6:56槍ヶ岳7:30〜槍ヶ岳山荘(田アさんと別れる)
8:00〜大喰岳9:00〜中岳9:45〜天狗原稜線分岐11:20〜南岳11:40〜12:10南岳小屋

8月5日(木) 快晴
 南岳小屋を出発し南岳を経て天狗原稜線分岐で休み、この後もう登りは無いと思うと心も軽くなる。ガレた岩だらけの急な道をペンキ印を見落とさない様用心して下る。
1時間程で天狗原台地に着き、周囲を見渡しても池は無い。雪渓を2ヶ所横切り最後の緑地に着いて小さな水たまり見つけたが、これが天狗池とは思われない。
すぐ横には雪渓が有ったが、これが全部解けたら立派な池になるのだろうと思いながら(帰って調べたら8月中旬以後雪解けが進んだら池になり逆さ槍が見られるとのこと)槍沢めがけて一気に下り大曲りを経て河原で昼食後、槍沢ロッヂで休み横尾を経て徳沢園へ。
コースタイム:
南岳小屋5:50〜天狗原稜線分岐9:15〜天狗原公園入口7:30〜天狗池8:15〜槍沢天狗池分岐9:15〜大曲り10:15〜10:20川原にて昼食11:10〜11:50槍沢ロッヂ12:15〜一ノ俣12:40〜横尾山荘13:45〜15:15徳沢園

8月6日(金) 快晴
 全日程晴天続きだったので、予備日の今日は上高地が初めての相棒と、山には来てもバスターミナルから上流しか知らなかったので、ゆっくりと上高地散策とする。
徳沢園を8時に出発しゆっくり歩いていると野生のオスざる″一匹が悠々と歩いていた。なにもあわてる事なくクマザサの茂みに姿を消していった。アー見とれて写真を撮るのを忘れていた。残念。
明神から梓川の右岸に渡り神社奥宮から自然探勝路をのんびり歩き河童橋、ウェストン碑、山の神神社等を見物後11時過ぎから念願の上高地帝国ホテルでシンボルのマントルピースのあるロビーでかなり高価なお茶を楽しみ、コーヒー(お代わり自由)とケーキセットで1750円、思い出多い2021年夏山を終わる.